ひっきりなしにかかってくる電話。携帯は充電しなきゃいけないけれど、充電してもすぐなくなっちゃうからなあ。音は鳴らないようにしてるけど、振動音がしんどい。
 林原さんがタオルを手渡してくれた。前にこのことで相談したことがあって、事情は伝わっている。俺の気持ちの面では少し楽になったけど、電話に対する対処は何も出来ていない。
 電話の主は大学に入るまで5年付き合った彼女だ。彼女と同じ地元の国立大に行くはずだったけど、目標が変わった。それを言えずに黙って星大を受けて喧嘩別れ。無言電話が始まったのはそれから。

「川北、携帯の契約を見直したらどうだ。格安で2台目を持つなど」
「うーん、そうですねー。そろそろ考えた方がよさそうですねー」
「ミドリ、眠そうだね〜。はい。春山さんのだけど」
「あ、烏丸さんありがとうございますー」