文鳥カフェのついでに俺に会いに来たらしい水鈴が帰る時間になった。星港から光洋まで新幹線で1時間ちょっと。案外簡単に来れる距離だ。こっちでも何だかんだ振り回され、新幹線のホームまで見送っている。
 大学を卒業後、水鈴はタレント一本で行くことになっている。今は情報番組の仕事を1本持っていて、話題になっている物や場所に行って体験したことのレポートが主らしい。ただ、本人の希望はあくまでイベントMC。まだまだこれからだそうだ。
 俺は義肢の研究開発の道に進むことになっている。入社式はこれから。研究施設と言うよりは、町工場と言うのに近いかもしれない。だけど、スポーツ用に肉体労働用、もっと細かいシチュエーション。細かな要望に応えられる仕事に惹かれた。