街でばったり出会った彼女の手には、大柄な荷物。そして、俺の手にも同等の荷物があった。見る人間が見れば、ショップ袋など名刺代わり。互いに薄々察してはいたけど決して深く踏み込むことのなかった領域を、意図せず曝け出している。
 恐らくは同人誌やグッズを大量に買ったと思われる福島さんと、同人誌やゲームを買い漁った俺。互いに見て見ぬ振りをすればよかったのかもしれない。だけど、気付いた時には手遅れだったのだ。

「まさか同じカードに手が伸びるとは」
「互いに提げてる袋が決定的すぎたよね」
「別に隠してるワケでもないけどあまり大っぴらにはなってないみたいで」
「アタシも青女ではオタク扱いだけど、インターフェイスに出るとそうでもないから加減が難しくって」