「あー、雨だ。かんな、あやめ、乗ってくか?」

 バイトが終わった時点で雨が降っていると、俺の車に諏訪姉妹が乗り込んでくるのが通例と化していた。最初の大荒れだったときにそうしたから、傘を差せば支障のない程度の雨の時でもそうするのが普通になってしまって。

「私はこの後出かける用事があるので」
「そうか。あやめも一緒なのか」
「違います」
「あやめ、乗ってくか」
「お願いします」