潰れてしまった伊東をベッドに寝かせ、やれようやく本番だと俺たちは改めて酒の準備をする。少し話を聞いたくらいで伊東の憂さが晴らせたとは思わないが、一人で溜め込むよりはマシだろう。

「ホント、何様なんだろうね三井は」
「今回は付箋と雑記帳以外に被害がなくて良かったと思うしかないな」

 事の発端は日曜日。サークル室に用事が出来てふらりと入ったときのこと。サークル室の中には無尽蔵に付箋が貼り付けられていた。内容はダメ出しの嵐。筆跡は俺の知る限りMBCCの奴ではなかった。