「えーと、どちらさまで?」
「見学です!」
「です」

 午後2時前、さあ昼放送の収録だとサークル室へ入ると、まるでこの部屋の鍵が開くのを待っていたかのように見たことのない顔がぞろぞろと。そして、それを引率するのは圭斗。

「やあ菜月さん、おはよう」
「圭斗、これは一体どういうことだ」
「午前中から、うちの班で夏合宿の話をしていてね」
「その割に班長がいないじゃないか。それに、打ち合わせをしたなら鍵をわざわざ返す必要がどこにあった」
「ん、あまり普段と状況が変わると菜月さんは身構えてしまうと思ってね。班長がいないのもそういうことだよ」