「大体メンバーは絞れたけど、どうする」
「時間割が確定しないことには難しいけど、粗方固めとこうよ」
MBCCサークル室……ではなく緑ヶ丘大学図書館内の自習室。少人数で使う前提の部屋の扉にはしっかりと「使用中」の札をかけてきた。ここで行われるのはMBCC秋学期昼放送に関するツートップ会議。
「1年生もデビューさせてあげたいけどね」
「出席率と実力は加味するからな。幹奈と松山は落とすぞ」
「カノンはこっちサブ的だからしょうがないか。クリも落とす?」
「1年のためだけの昼放送枠じゃねぇんだぞ」
やっぱり高ピーはその辺厳しい。1年生だろうが3年生だろうが、デビューだろうが集大成だろうが基準に達しないならバッサリと切ってしまうのだから。
でも、それくらいの思い切りがないと枠に対して人数の多い状態での編成は出来ない。各学年、まずは落とす子と当落選が微妙な子をホワイトボードに振り分けていく。
「桑名が微妙なんだよなー、ミキ部長的にはどうだ?」
「わっぱは慣れれば何とかなると思うんだけどね。食堂の機材との相性がよければ或いは。あとペアの相手にもよりそう。曜日的に組めそうなアナさんいる?」
「あー、やっぱ1年の理系はキツキツだな。桑名は保留で」
そうやって誰の技術が、誰の出席率が、誰の履修が、誰の身長が、などと話し合って決めていくペア。もちろん、相性というのも大事。2年前の大事件を見ている身としては、1番気をつけたいのはそこ。
「1年生で確定したのはアナがエージとハナちゃん、ミキがタカシでオッケ?」
「ああ。問題はそいつらに誰を付けるかだな。履修的にハナとLが相性良さそうなんだけど、コイツら身長差ありすぎるだろ」
「ああー、確かに立ちだとキューが見えないかもね」
「Lの相手はエージにしとくか、果林もチビだしLが俺と組んでもしょうがねぇ」
「その理屈で言ったらハナちゃんの相手はゴティかな」
「そうだな。五島なら履修的にも問題ねえし。2年ミキはどっか押しが弱いだろ。エージとハナで半期鍛えるぞ」
何だかんだでペアの決まり方は消去法になっているような気がしないでもないけど、最初の時点でシビアにやってるからメンバーを選抜した後のことはふわふわで大丈夫。
俺自身の相手は春学期と同じ果林に決まった。本来は同じ相手と連続で組むのは避けるべきなんだろうけど、これも消去法で削りすぎた結果、詰んだよね。
「あ、高木の相手が俺しかいなくなっちまった」
「いいじゃん、夏合宿を経て一回り成長したタカシと組んだら楽しいかもよ」
「そうだな、最後にそれを楽しむっつーのもアリか」
そして思い返すのは自分たちの昼放送デビューのこと。高ピーこそ育ちゃんとの大バトルを起こした苦いクールではあっただろうけど、それはそれで身になってるだろうし。
デビューするかどうか保留にしていたわっぱも、何だかんだでゴーサインが出た。ただし、本番前に俺がみっちりと指導をするという条件付きで。1年生にはやっぱりある程度ついてあげるのも大事。
「ねえ高ピー」
「あ?」
「簡単な踏み台買ってさ、食堂に置かせてもらわない?」
「ハナがマイク位置セット出来なかったら考える」
「すべては各ペアの第1回目だね」
さーて、どうなることやら。
end.
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MBCCの昼放送のあれこれに関する会議なんかをやってたらいいなあと思ったらこんなことになったよ!
どうしてMBCCのサークル室から離れたのかと言えば、人が来ないようにということを最優先した結果。
と言うかwww ハナちゃんとLwww 身長差でペアを組まなかったのね……まあ146と181じゃなあ。