「あいててて」
「ちかちゃん大丈夫?」
「俺は大丈夫です。でも伊東さんごめんなさい急に突き飛ばしちゃって」
「そんなの全然! アタシがちかちゃんに助けてもらったんだからね。はい、これでオッケー! 汗で浮いて来るかもしれないけど」
「ありがとうございました」

 俺のバイト先はスポーツ用品を扱っている物流倉庫。冷暖房はない。涼しい事務所で伊東さんから応急処置を受けていると、通りかかった人たちからどうしたのと聞かれること数回。右腕にはシップが貼られ、その上から薄い包帯で固定されている。
 さっき、2階の吹き抜けから段ボールが落ちてきた。その真下を歩いていた伊東さんを夢中で突き飛ばして。降って来たケースはそのまま右腕で受けた。大きさも重さもあるものだったから腕が痛み出して。