「浅浦テメーマジでふざけんなよ」
「俺よりも俺の部屋でくつろいでるんだから模様替えの手伝いは義務だろ、お前がふざけんな」

 慧梨夏もいないしバイトもないし、他の友達も捕まんなくて一人で暇だしというときは、浅浦の部屋に転がり込むことが多い。今日も浅浦の部屋に転がり込もうとしたら、留守だった。
 浅浦(と書いてルビは“引きこもり”)のクセに外に出てんじゃねーよと思って帰ろうとした瞬間、家主は本屋の手提げ紙袋と共に帰宅。マイベストフレンド! そんなようなノリで部屋に転がり込み、さっそく定位置のロフトに陣取った瞬間のことだった。
 まあ、手提げ紙袋が出てくる規模の買い物っていうのはお察しなワケで。浅浦が結婚情報誌的な分厚い雑誌を買う習慣はなく、袋の決め手は量。そうなると浅浦は部屋の、と言うか厳密には本棚の模様替えを始めるんだよな。ちきしょい巻き込まれたか。