「高ピー先輩って、ブラックコーヒー飲めないんですよね」
「それがどうかしたか」

 高ピー先輩に拉致されてやってきたカフェは、ボサノヴァが今日もいい雰囲気を演出している。ケーキの甘い香りと、コーヒーの香ばしい香りの奏でるハーモニーが食欲をそそる。
 カフェモカを一口。コーヒーは好きなのにブラックが飲めないという、高ピー先輩の性格や言動からするとギャップとも取れる嗜好をひと突きすると、眉間にはうっすらとシワが寄る。