「雄平ー! おーい、ゆうへーい!」

 学内を歩いていて久し振りに見かけた雄平は、スマホと睨み合って難しい顔をしていた。嬉しいような顔でもあるけど辛そうな顔でもある。滲んでいる感情が一言では言えない、そんな顔。
 雄平はアタシの呼ぶ声からワンテンポ遅れて顔を上げた。スマホを伏せて、何事もなかったかのように「よう」と左手を翳す。アタシも同じように「久し振り」と返す。

「何見てたの?」
「ああ、ちょっと」