「あっ、ユキちゃん。来てくれてありがとう」
「どうしたのミドリ、何かあった?」
「あー……えっと、特に深い理由はないんだけど、ユキちゃんと話したいなと思って。ゴメンね、急ぎの用事があるとかじゃないんだ」
「ううん、逆によかったよ。最近深刻な話ばっかりだったし。たまにはのんびり話するのも」

 ひょんなことから、あたしはミドリから秘密を打ち明けられていた。それは、大学に入学するまで5年付き合った彼女の存在と、その彼女が現在ミドリに対して無言電話などの嫌がらせを繰り返してくるということ。
 こないだインターフェイスの1年生で飲んだ時も、ミドリはその元カノさん絡みの悪い夢に魘されていて、よっぽど深刻なんだなあって。携帯を変えて解決するような問題でもないとのこと。誰かしらから辿り着かれちゃうんだって。
 最近はそんな話ばかりをしていたから、深い理由もなく呼び出されたと聞かされて逆にほっとしたと言うか。今では定例会で会うことも増えてるけど、そういうのでもない単純なお喋りの機会には喜んで付き合う。