「L先輩L先輩」
「どうした」
「あんまん食べたくないですか」

 とある授業後、出席カードを提出して帰ろうとしていたときのこと。身長の関係で最前列に座っていたハナに声を掛けられる。話しかけられるのはいいにしても、あんまんはどこから出てきた。いい予感はあまりない。
 握っていたペンを机に打ち付けながら、ハナはあんまんあんまんと繰り返している。確かに今日は寒い。最低気温も氷点下で、下からの生活音は全くなかった。中華まんなんかを食べるには絶好の気温だろう。