「うわ、うまっ」
「バンちゃんサイコー!」
「ありがとー。俺も友達から教えてもらったんだー。簡単だし2人もやってみなよ」

 秋学期の授業が一段落して、帰省してきた。ひょんなことから今年の夏に再会した友達とうだうだ集まる年の暮れ。俺の実家なのに支度をするのがバンデンなのはご愛敬として、とにかく愉快なメンツの鍋パーティーだ。

「今になって気付いたんだけど、薫くんの家族は?」
「父さんと母さんはクラシックコンサート、兄貴は学校、渚は塾じゃねーかな。受験生に盆正月はないとかニートは自由だなとか帰ってきて早々嫌味言われたっつーの。うるせえ趣味もなければ勉強に目的もねえクセにっつって」
「うわー。ロイド君、安定の兄弟仲の悪さだな」