「おーす朝霞」
「ああ、鳴尾浜。よう」

 部活の現役中はこうやって授業前に声をかけてもステージのことばっかりばっかり考えてて上の空だったけど、部活を引退してからの朝霞はお前誰だという感じだ。雰囲気からしてちょっと違うような気がする。
 さっそく隣の席に陣取って、他愛もないことを話す。だんだん寒くなって来たとか、布団から出るのがしんどいとか。朝霞は寒いのが嫌いなようで、もうこたつから出られないらしい。トレードマークのカーディガンは、結ぶのではなくきちんと羽織っている。