15枚ほど積み上げられてた木製パレットの上に、胡座で眉間にシワを寄せる塩見さんの姿があった。こんな時の塩見さんは、きっと何かを考えているんだと思う。この状態のオミに下手に声を掛けると怖いぞ、とは宮本主任が教えてくれた。
 会社では年末年始に向けた出荷が一段落して、それこそ大掃除が出来るまで静まりかえっていた。それぞれ事務所や食堂、作業室なんかの持ち場を掃除していて、俺は主任と一緒に現場の掃除をしようとモップを手に倉庫の端を目指して歩いているところだったんだ。

「千景!」

 突然上から声が降ってきてビックリした。足を止めて振り向くと、塩見さんが器用にパレットの山から駆け下りてくる。