ここ最近、いやにバタバタしている。そんなバタバタの末に辿り着く最後の場所が、いつもの“玄”だ。忘れ物のないようしっかりと支度をして途中で宇部と落ち合い、一緒に暖簾をくぐる。すると、いつものように山口がいらっしゃいませ〜と俺たちを出迎えるのだ。
 いつものと言う割に最近では割とご無沙汰で、店には来るけど山口がいないパターンも往々にしてある。山口にもとんでもなく久々に会うような感じがする。現に、今年になってから初めて会ったんじゃないかとすら思う。ちょっと記憶が定かじゃないのが申し訳ないんだけど。

「2人とも、生と5種盛りだよね」
「そうだな」
「ええ。それでお願いするわ」
「少々お待ちください」