「なあ慧梨夏、ちょっと考えてたんだけど聞いてくれるか」
「うん、どうしたの」

 洗濯した物を干そうとカゴに入れていて、ふと思ったんだ。こんな風にさあ洗濯物を干すぞって思いっきり窓を開けられるのも、もうわずかな時間しか残されていないんじゃないかって思って。それは別に洗濯物に限った話じゃない。布団干しにしてもそうだ。

「俺にはもう時間が残されていない。だから冬の間に溜まった洗い物を、来週の日曜日までに全部出してくれ。宣戦布告する。洗濯戦争を始めるから」
「うん、わかったけど時間が残されてないっていうのは? 部屋を引き払うからじゃなくて?」