「おざーっす! ヒデさん、新しい機材買ったんで試しに行きましょ! マジパねえんすよ!」
「へえ、いいね。どんなの買ったの?」
「防水・防塵カメラっす…! まあ、俺の行動様式的には遅い方だとは思うんすけど、俺の視点でこう、山に分け入って行く様子とか撮ったら面白くないすか?」
「うん、いいと思うよ。サバイバルな感じでワイルドな画が撮れそうだね」

 青浪敬愛大学放送サークルAKBC。俺、浜田真司はこのサークルで日々マジパねえ映像を作っている。自販機みたいにデカい先輩が、ヒデさんこと松江英雄さん。体はデカいんすけど性格は控え目っすよね。冬にダウンジャケットを着た姿はマジベイマックス。パねえ。
 AKBCでは個人が好きに映像を撮ったりもするけど、チームでひとつの作品を作り上げることもある。そういうときは大きく分けて企画と機材って感じで分かれてやるけど、実際そんなのはあってないようなもの。俺も実際先輩の影響で企画側にいるけど、今みたいに自分で機材買って撮影してばっかだし。