「ごほっごほっ! ん〜……うぇほげほっ!」
「菜月先輩、大丈夫ですか?」
「らいじょ……げほげほっ!」

 土曜日からそんな兆候があったけれど、菜月先輩が風邪をひいた。と言うか、ここまで酷いなら何も出て来なくたってと思うのだけど、出て来てしまったんだからしょうがない。菜月先輩はさっきから激しい咳を繰り返して、呼吸もままならないような状態だ。
 圭斗先輩によれば菜月先輩のこれはよくあることで、毎年のイベント。だから今年風邪をひいたところでやっぱりかという感じなんだそうだけど、それでも見ているだけで本当に辛そうで。だけど俺にはどうすることも出来ずにいる。