「ハッピーハロウィーン」
「果林、相変わらずすごい買い物袋だね。お菓子くれるの?」
「すみませんいっちー先輩、これは配る用じゃなくてアタシが個人で消費する用です」
「うん、知ってた」

 10月になったくらいから町ではハロウィンムードが高まって、スーパーでもお菓子のパッケージがハロウィン仕様になってたりする。実際の意味のハロウィンはともかく、いたずらとお菓子の応酬くらいには軽く楽しみたい。仮装はちょっとハードルが高いし。
 果林がいつものように買い物袋を提げてやって来たけど、果林のそれは本人が言うように全部自分で食べる用。四次元胃袋とまで言われた果林が人に食べ物をあげる余裕なんかあるはずもなく、むしろアタシが欲しいくらいですよねーと言ってパンの袋を開ける。