「アオ、ちゃんと食べてる?」
「はい。程良く食べてます」
「高崎サンの所為で食べらんなかったら言うんだよ」
「おいつばめ、人聞きが悪くねえか」
「あのねえ、さっきからアタシ高崎サンに強奪されてばっかであんま食べれてないの! ここからここはアタシのゾーンだからね、侵攻してこないでよね! まったく、せっかく果林と野坂がいないと思ったのに」
「てめェが隙だらけなんじゃねえか」

 インターフェイスの夏合宿参加者を対象にした打ち上げというものに呼ばれたので、久々にこういう催しに参加してみる。俺や高崎は合宿の最後に行われる番組のモニター会に出席した縁で声がかかった。今回の打ち上げは焼き肉の食べ放題。いかにも今の対策委員らしい、食を重視した会なんだろう。
 席順は参加費と交換するクジで決まるそうだけど、俺と高崎は喫煙者という事情で換気扇の下の席に着かせてもらうことになった。一緒に網を囲むのはくじ引きで集まった戸田さんとアオだ。正直、この席順にはとても安心している。如何せん俺は幽霊部員なだけに、知らない奴の方が圧倒的に多い。知っている人しかいない席、最高だ。
 特に、アオに関しては俺がUHBCに連れてきたような物だし、高崎の高校時代の後輩らしい。互いに遠慮も何もない。戸田さんはこういう感じの性格だから、俺たち先輩に対して過剰に気を使ってくることもないのが逆にこっちもやりやすい。そういうのが気になる奴もいるだろうけど、少なくとも俺と高崎はそういうのを気にしない。