「あっ、こっちこっちー」
「お疲れさまですー! 和泉君と、そっちが」
「ゆくゆく世界が誇るギタリストになる、長谷川正道な! スラップソウルっつーバンドのギタリストだ!」
「えっと、そしたら拳悟君も何か食べる? 仕事終わりでお腹空いてるでしょ?」
「あっ、じゃあ俺普通にご飯頼んじゃいますね。えっ、2人は」
「俺たちはもう食べちゃったの」

 年末の大晦日に、シャッフルバンド音楽祭というイベントを開くことになった。これはただ単に人脈の届く限りのバンドマンや個人を集めてみんなで音楽をやろうっていうだけの会。それぞれのバンドをシャッフルして、全然知らないバンドのいつもやらないジャンルの曲をやるっていう形式なんだ。
 星港市内某所ライブバーを貸し切って、年越す? 越さない? くらいの感じでやりたいよね。俺とリン君はその前にブルースプリングの路上があるんだけど。だから大晦日は本当に忙しいし、リン君には路上のために曲を書き下ろしてもらってるよね。その曲も音楽祭のために提出したし。