街にはクリスマスソングが流れ、イルミネーションもキラキラと瞬く。LED照明の普及がこんなにも人工的な冬を作り出すとは。どいつもこいつも浮かれ模様か。
 ――なーんて、俺こと野坂雅史ががやさぐれるのも仕方がないと思っていただけるだけの事情はちゃんと存在している。決して独り者の僻みとかそんなんじゃないんだ。

「持つべき物は心の友やよ」
「俺はお前の心の友になった覚えはないけどな」
「でもノサカもボクのおかげで寂しいクリスマスせんでええんやし、もっとボクに感謝するべきやよ」
「まあ、すごく虚しいけどな」