「あっ、関さん関さん」

 耳にはイヤホン、手には文庫本。ゼミ室でのアタシは話しかけるなオーラを纏っているつもりだけど、そういうのもお構いなしの人がいるにはいる。
 かけられる声には「おはよー」と形式だけの挨拶をして、ぺこり。言ってしまえばモブキャラの相川クンがアタシに何の用なのかと。

「大祭実行の友達がさ、関さんの友達のあの子をかわいいーとか天使だーとかって言っててさ。どんな子なのかなーと思って」
「あの子じゃわかんないよ」
「えーっと、確かポニーテールの」