「ほえ〜、すげーなー」

 カチッ、カチッというクリックの音と、感嘆の溜め息が書斎代わりにしているロフトを包んでいた。俺はそれを眺めながら、クッションに寄りかかり、いつも通りの読書の時間。
 この腐れ縁が何をしているのかと言えば、迫るバレンタインに向けた必勝レシピの検索。それをどうして俺の家で、言ってしまえばコイツも一応男なのにそんなことをしているのかは不可解だ。