「美奈、お前はプレッツェルを食べるか?」
「プレッツェル…?」

 パンパンになった紙袋を提げてやってきたリンが、私の姿を見つけるなりに放った言葉が、その袋の中身を推察させる。そもそも、リンが人に食べ物を勧めるという事がとても珍しく思う。

「どうしたの、これ……」
「情報センターの先輩から押しつけられた。その人も知り合いのバンドマンからケース単位で押しつけられて処理に困ったとかで」
「それで、私に…?」
「ああ。センターの事務所で少し摘んだが、甘い物ではなかった。塩気が少し強いかもしれんが、コーヒーには合うだろう」