「それではー、植物園イベントお疲れさまでしたー!」
――と、女子会プランで乾杯を。青葉女学園大学放送サークルABCの一大イベントである植物園ステージが無事終了。前の年度から数ヶ月に渡って準備をしてたし、打ち上げも盛大に。
1年生の子は入って早々のイベントだし、こういった打ち上げも初めて。新歓よりイベントの打ち上げの方が先になってしまうのは、ABCの色と言うか伝統ということで納得してもらうしかない。
「いろんなカップルが遊びに来てたけど、サドニナが一番かわいかったですね!」
「サドニナは強気だなあ」
「じゃあサドニナ、ABCだったらどうなる?」
「直クン先輩はイケメン枠なので除外すると、サドニナのライバルはヒビキ先輩なのですよ!」
「ほほーう、サドニナ、アタシと勝負するってー?」
何だか1年生ももう打ち解けているのかなあ。話の方向がよくわからないけど、女だらけだから多少どす黒くたって気にすることじゃないんだけど。
1年生のアナウンサーに佐渡仁那という子が入ってきたんだけど、この子が自分大好きっぽい子。声優志望で、ネットによく自分の歌の動画を上げたりしてるとか。
1年生からヒビキへの公開ライバル宣言に場が沸いている。言ってしまえば、可愛さでは私はあなたに勝てますと言っているような物。サドニナが飲んでるのは……普通のオレンジジュース、だよね?
「どうしてアタシなのかな〜?」
「Kちゃん先輩はキレイ系ですし紗希先輩は癒し系じゃないですかー、サドニナはキレイ系になれるほどオトナじゃないですし、癒し系とは真逆だとよく言われるのです。なので比べる対象じゃなくて共存したいと思ってます」
「意外とマトモだなあ」
「だけどヒビキ先輩からはキャラカブりの気配がビンビンするのです! 同じグループにアイドルは2人も要らないんですよ! 若くてピチピチなサドニナに道を譲ってヒビキ先輩は隠居するのです!」
これは面白いことになってきたぞ。そんな気配にみんな沸き立っている。これは本気なのかプロレスなのか。それはわからないけど、飲み会の場のエンターテイメントとしては、上々。
「残念だけど、アタシはナルシストでもオタクでもないからキャラはカブってないと思うなあ」
「何を言うですか! 2年生の先輩にも窘められる落ち着きのなさがカブってるんですよー! きゃぴきゃぴとハジケるのはサドニナの専売特許なのですー!」
何かヒビキ、サドニナに言われたい放題だなあ。さすがにこれにはアタシと直クンは苦笑い。ここでアタシたちはヒビキの懐が意外に深く、器が案外大きいことに気付く。
女の園は闇が深い。今はそうでもないけど、アタシたちが1・2年の頃と言ったら、もう。だから、こうして表だってケンカを売ってくれるくらいの方が気持ちいいのかもしれない。
「サドニナは夢見がちだからね」
「ヒビキ先輩には言われたくないですよ。玉の輿なんていつの時代の夢ですか」
「アイドル声優よりは現実的でしょ」
「それを言ったら社会的地位と顔とスタイルと性格が揃った玉の輿の方が現実離れしてますー!」
相変わらずぎゃあぎゃあとどっちがどうだと言い争って賑やかだけど、それを見るアタシたちは皆等しく楽しんでいる。キャラがカブっているかどうかは別にして、仲がいいようで、何より。
end.
++++
ヒビキとサドニナの方向性はこれでいいのかなとも思うけど、楽しかったからこれでいいや。サドニナ、怒られるぞ!
青女の飲み会はどんな光景になるのか想像もつかないけれど、比較的落ち着いてるのかな、2・3年生は。1年生? うん、まあ、うんw
青女3年生が1・2年生だった頃、というあの頃話もいつか出来たら。みんな3年生になる頃には鍛えられるよ!