腹が減っては戦は出来ぬと言うが、問題は、空腹を自覚してしまう程度の集中力だったことだ。一度それを自覚してしまえば、気になるのは時計の針。時計の針は深夜1時を回ろうとしていた。
 そろそろ講義も中盤に差し掛かり、課題の難易度も上がり始めていた。講義中に提出する物はもちろんしているが、提出期限のある物であれば後に回してしまうこともある。今も、そんな作業の真っ直中。
 石川は妹の勉強を見るとかで今日は来ていない。静かなゼミ室で作業の手を止めれば、聞こえるのは背中越しのキータイプ音。一応、存在はあるようだが、その手が止まる様子はない。