「えっ、合宿の予算って参加費上乗せして賄ってたの!?」
「悪く言えばぼったくりだねだね〜、と前会計サマがそう申しておりました。ちなみに、普通に2泊3日なら4500円とかそんなね。2500円ボッタクってるから」
「ひえ〜っ」
つばめから明かされた衝撃の事実に、対策委員の台所事情を想う。やっぱりと言うか当然と言うか、資金が潤沢なはずもなく。夏合宿の参加費を上乗せすることで稼いでいたらしい。
だけど、このボッタクった中にはインターフェイスの活動で機材を使う際に発生する機材補償費も含まれているし、駅からのタクシー代や同録のMDを買うのもここから。何だかんだお金は要る。
「まあ7000円が限度だよね、諸々の経費も込みだったら」
「去年はクソ高いなと思ってたけど、妥当な値段だったんだな……」
「アイス食べ放題のオプションもあるからね」
「それは必要経費だ」
いくら参加費をボッタクっているとは言え、使い方を間違えてしまうと大赤字は必至。その辺は対策委員の鬼会計……もといやりくり上手な会計・つばめの腕の見せ所だ。
つばめがバチバチと電卓を叩き、参加費と現在ある対策委員のお金を計算していく。各イベントで集めている機材補償費が使われなくても対策ではなく定例会の予算になるのが辛い、などと言いながらも。
「何かね、夏合宿ってやっぱ買い出しも増えるしみんなからお金もらうイベントじゃん? 洋平が言うにはちゃんと管理しないと結構致命的にズレてくるらしくてさ」
「それじゃあ各班、各大学で徹底しとかないとな」
すると、つばめはここで対策委員自身も会計・買い出しに関する基礎知識があるかどうか、なければそれを共有しなければならないと説き始める。そして、抜き打ちテストやるよ、と。
「問1。必要な物の他に自分の買い物がしたくなりました。どうする。果林」
「しないのがベスト。出来れば別会計にしてもらう。出来なかったら買い出しした物に印をして計算し直す」
「うん。でもしないのがベストね。次。買い出しにおけるレシートの扱いは? 啓子さん」
「名前を書いて出来るだけ早く会計に渡す」
つばめの抜き打ちテストは、いつ指名されるのかわからなくて怖い。俺は買い出しもしたことがないし、会計の袋を触ったこともない。これからするかもしれないけど、自信はない。
段々と矛先がこっちに近付いてきて、ついに隣に座るヒロまで来た。問題は領収証のもらい方。半ば予想出来たけどヒロの答えはかなりぐだぐだでつばめも呆れてるし、次はどこへ飛ぶのか丸わかりだ。
「アタシの名前でも上様でもなく領収証のもらい方。野坂」
「えっと、向島インターフェイス放送委員会の名前でもらう」
「オッケ」
そしてつばめの会計講座は続く。これも、少しでも夏合宿関連会計による帳簿のズレを解消するためだと。確かに、限られた予算だ。お金が足りなくて泣きつくということはあってはならない。
何より、つばめの手を煩わせるようなことがあっては、どんな雷が落ちることやら。
end.
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今期の対策委員の役職は、偶然にも前の対策委員の役職と学校で引き継がれてるところが多い模様。議長は向島、委員長は緑ヶ丘、会計は星ヶ丘といった風に。
さて剛腕会計つばちゃんの会計講座ですが、やっぱりヒロはぐだぐだな模様。それでも代が変われば制度改正後MMPの会計に就任するらしいので、圭斗さんと菜月さんは思い切ったね。
アイス食べ放題のオプションは地味〜に毎年恒例になってて話題にもなる青年自然の家の特色。無くすワケにはいかないらしい。