※勝手にキャラをお借りしてますすみません。←
Act.1 きみの話はつまらない。
昼休み、図書室に訪れた凌は見慣れた先輩の姿を見つけて、声をかけた。
「あ。凛たろせんぱーい」
本を選んでいたらしい彼はちらと一瞬、こちらを振り返った。けれど、何事もなかったかのようにそのまま本を選び始める。
凌は思わず、突っ込んだ。
「ってシカトですか!今、明らかに俺に気付いたでしょ、先輩」
「ああ、相模か」
「ちょ、今気付いたの?さっき俺と目ェ合いましたよね?!」
噛みつく凌に凛太郎は吟味していた資料(世界の拷問に関するレポートなんて何処に提出するんだ!)を閉じて、相変わらずの無表情を少し不機嫌に歪めると、溜め息混じりに言った。
「お前の話はつまらん。喧しいから黙れ」
びしっと固まってしまった凌を残し、凛太郎はさっさと移動してしまう。
その時、後ろから山田が凌を呼んだ。
ゆっくりと振り返ると、自費出版に関する本とアルバムを抱えた山田がにこにこと笑いながら、手を振っていた。
「やあ、凌くん!そんなところでどうしたんだい?」
「…さおちゃん先輩はいつも元気ですね」
「そうかな? あ。杉野くーん!」
会話の途中で山田は少し先にいる凛太郎に気付き、駆け寄っていく。
瞬間、凌は見た。
凛太郎の表情が不機嫌を通り越して、殺気立つのを。
凌は迷わず回れ右をした。山田には悪いが、巻き添えを喰らいたくない。
図書室の扉を後ろ手で閉めた瞬間、俄に室内が怯えたようにどよめいたが、もはや凌の知るところではなかった。
(触らぬ凛太郎先輩に祟りなし)