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青い春 12

ーーある日の放課後



陽菜side



《好きな人》から《彼女》へ
友達の壁を超えた先、念願のお付き合いという形になれたんだから色々あるのは当たり前で。
むしろ二人しか出来ない愛の確かめ方がようやく、ようやく…



『甘いね』



優子は担任の先生に呼ばれてお話中
暇つぶしだろうけどみいちゃんも陽菜のクラスにきていた
そしてそんなみいちゃんの一言で幸せに浸っていた陽菜は一気に現実に引き戻された
隣を見ると爪をいじりながら平然とした顔の峯岸。



『甘い。詰めがあま〜いよ陽菜は』
『なにが?』
『なにがってあんた。あの優子よ?鈍感・純粋・バージンの三拍子』



にやにやと笑いながらみいちゃんは続ける



『一年は手を出さないと見た!』



渾身のどや顔は、なんか…
いつにも増してガチャピンに似てる



『こじぱのこと大事にしたい…とか言いながら抱きしめるのが精一杯だろうねえ!!』



とか言いながら一人で妄想の世界に入り込んだみいちゃん
楽しそうなその顔はやっぱり、うん。ガチャピンに似てる



(…いや、まさかね)



いくらウブな優子だってそれはないでしょ
好きで付き合ったわけだし、好き同士なら自然とそうゆうことになるはずだし?
付き合って今日で一週間。毎日一緒にお昼を食べて、一緒に帰って、ほーら。



『ラブラブな時間過ごしてるもん』
『まあまあ、これからですよ小嶋さん。肝心なのは』
『なんか峯岸。顔変なんだけど』
『ちょっと待って。サラッと悪口じゃないの?それ』
『べっつにー。ガチャピンに似てるとか言ってないじゃん』
『……ふられちまえ』
『え?なに?』




なんでもなーいって言うみいちゃん
陽菜は優しいから最後の言葉は聞こえないフリしてあげるけど



『こーじぱ。お待たせ!』



大好きな人の声がしてどきんと心臓が跳ねた
後ろを振り向くとドアのほうから歩いてくる優子



『ゆーこー』
『んー、ごめんね?待った?』
『あのね、みいちゃんにいじめられてたの』
『えええ!?みいちゃん!』



いやいや、いじめてないから!ってわたわたするみいちゃん
優子に見られないようにべーってしたらこの野郎みたいな顔されたけど知らないもんねー。



『てか、あれ?みいちゃん帰ってなかったの?』
『御宅のお姫様のお話相手させて頂きました』
『あはっ。こじぱのために一緒に残ってくれてたの?みいちゃん優しいね』
『いやあー!優子はわかってる。好き、可愛い、陽菜じゃなくて私と付き合お!』
『あはあっ』



あはあって、もお…!
みいちゃんはむかつくし、へらへらしちゃう優子もやだし。
なーんか全然面白くない。



『こじぱ?』
『…ん』
『あれ?どうしたの?怒ってる?』
『ばーか』
『え、えっと。なんかした?』
『もー早く帰ろう。みいちゃんばいばい』
『あ、え?え?みいちゃんいいの?え?』



みいちゃんと陽菜を交互に見てなにがなんだかわかんないみたいな顔をする優子の腕をぐいぐい引っ張って教室を出た
ちらっとみいちゃんを見ると陽菜の機嫌を悪くしたくせに手をぶんぶんと振りながら上機嫌に笑ってるし。
あのガチャピンめ。




『みいちゃんはたまたま友達を待ってただけなの。大丈夫』
『ああ、そうだったんだ』



まだちらほらと生徒が残っていた
生徒玄関を出るときにふと聞こえた声
あそこ付き合ってるの?うそー優子ちゃん狙ってたーなんて先輩達が言ってるから益々目つきが鋭くなりそう



『ねえ、こじぱ』
『なーに』
『どうして怒ってる?』
『優子が可愛いすぎて』
『へ…』
『もてもてだなーって。陽菜の優子なのになーって』



そういった瞬間、がくんっ、と腕を引っ張られた



『ゆう、こ?』



振り向くと真剣な顔をしてる優子にびっくりする
なに、変なこといったかな…



『こじぱ』
『え?うん』
『…可愛い。好きだよ。世界一可愛い』
『…っ!!』
『機嫌直して?ね?』



陽菜より小さい優子は少し背伸びをして頭をよしよしってしてくれた
その優しい顔つきに胸がぎゅってなる



『あたしもてないよ?』
『もてるのっ。気づいてないだけだもん』
『あは、そんな顔しないで。こじぱしか興味ないから』
『ん』
『ふはっ。ほんと可愛い。帰ろっか?』



はい、って出された小さな手
もちろんカップル繋ぎは譲れない
ぎゅってしたいな、ちゅーしたいな、そんな風に思っちゃう陽菜はちらりと見た優子の横顔にはっとした
だって、すっごい幸せそうだから



『ふふ』
『ん?どしたの?』
『なんでもなーい』



優子が隣にいる
それだけでまだいいかな?

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