ー地元はほっとする




うちの実家は緑溢れる良いところ
空気も美味しくて、平和で



って、今だから思えるけど、あの時の陽菜はそんなTHE 田舎を出たくて出たくて出たくて
とにかくここを出ることが目標になっていた




『ママ、パパ、東京でお洒落な仕事をしたいの』
『お洒落な仕事って。陽菜、ここでもお洒落は出来るぞ?』
『あら?ママはいいと思うけど?陽菜は都会が似合う顔してるわ。ママ似だからね。ふふっ』




パパは出ていく事に猛反対
ママは陽菜が可愛い服や髪型や、メイクも大好きなのを知っていたから東京でもっと輝いてほしいって
やっぱりママは分かってる
あの時味方してくれたママのおかげで陽菜は上京することが出来た
そんなママに乗せられてパパもしぶしぶ許してくれたんだよね





『んーーーっ。ついた!ただいま』




パパに空港に迎えにきてもらって
THE 田舎の実家に到着
念願のお盆休みをもらえたからやっと地元に帰って来る事が出来たの




『おねーちゃん!』
『あー、あっちゃん!』
『おかえりー』
『ただいま。久しぶりだねー!あっちゃん髪の毛伸びたねー』
『そうなんだー。いま伸ばしてるの』




にこにこと嬉しそうに話してくれるこの子は可愛い可愛い妹ちゃん
歳は5歳下で少し離れている
あっちゃんは高校1年生になっていた
最後に会ったのは中学1年生だけど、やっぱり女の子は変わるんだ
大人びていて、お姉ちゃんはびっくりする




『あっちゃん、大人っぽくなったね』
『えーあたしの台詞。おねーちゃんはやっぱり東京が合うんだね?なんか、都会のおんなーって感じになってる〜』
『えーそう?ありがとう。ふふっ』



あっちゃんと陽菜は話し方とか性格とかあんまり似てないと思う
でもうちの妹は可愛い
間違いなく可愛いと思う




『あ、ねえねえあっちゃん。ゆうちゃん、どっか旅行とかじゃないよね?』
『え?優子??どこも行ってないと思うけど。夏休み入ってからまた飽きもせず走ってるよー』
『ふーん。そっかーー』
『どうして?』




あっちゃんがすごく不思議そうな顔をする
陽菜は言おうか迷ったけど、なんでなんでと一度気になったらとことんしつこいあっちゃんからは逃げられない




『なんでーー?』
『んーー、無視ってやつ?』
『無視?』
『そ。ライン見てるのに返ってこなーーい』
『...へーー』
『なんでかなあ』
『なんて送ったの?
『昨日ね、明日帰るよーって。だからゆうちゃん会える?って』
『ふーーん』




あっちゃんは何か考えているけれど
ふんふん。なるほどとかいって1人で納得している




『あっちゃん、なんか知ってる?』
『んーん知らない。けど、家にいるよきっと。いってきたら?』




陽菜はあっちゃんに言われて、素直にそうしよっかなと思った