ーー恋に決まりなんてない
陽菜side
『にゃんにゃん…えっち』
掠れた声が小さく、小さく響いた
『……』
その場の空気が凍る
部屋にいた全員の視線が声の発信源に集まる
けど、その子の熱い視線は真っ直ぐ陽菜だけを捉えていた
『…え?は?』
それ以上何も言えないなんて当たり前
固まるのなんて当たり前
陽菜だけじゃなく、他のみんなも
『優子?え、っち?』
『したいの、にゃんにゃんと』
『ねえ、飲み過ぎじゃない?お水飲もうね?』
『にゃんにゃんとにゃんにゃんしたい…』
少し慌てた様子の麻里ちゃんとあっちゃんはなんとかゆうちゃんを止めようとおろおろしているのが伝わってくる
けど、全スルーして陽菜の目の前にはいはいをしてくるゆうちゃん
顔が赤いのはお酒のせい?
それとも…
『ゆうちゃん、どうしたの?』
『えっち』
『…したいの?』
『脱ぐね』
『ちょ、ゆうちゃん、えっ』
シャツのボタンに手をかけたゆうちゃんを慌てて止めようと思ったけど一つ、二つ、と空いていく胸元
見えた谷間につい釘付けになった
『あたしとするの、いや?』
『…陽菜はゆうちゃんがいいなら』
『な、陽菜!優子は酔ってるんだよ!』
『でもゆうちゃんがしたいって言うんだよ』
怒ったようにそう言うあっちゃん
知ってるよ、優子が好きで仕方ないもんね
でも残念。人は酔うと本音が出ちゃうんだよ?
『…やっば』
『ん、麻里ちゃ』
はっとして声のする方を見ればもう一匹のハイエナが欲情した目でゆうちゃんの胸の谷間に指を滑らせていた
『ちょっと麻里ちゃん!』
『ねえにゃろ。混ぜてくれない?こんなゆっぴーやばい』
『なに言ってんの。絶対いや』
こっちのハイエナは本当に危ない
状況に便乗してくる悪魔なんだから
触られたことで麻里ちゃんをいやらしい目で見るゆうちゃんにも危険を感じた
『ゆうちゃん、えっちしたいね?陽菜としたい?』
『ん、にゃんにゃんがいい』
『よし。陽菜のお家いこ?』
『なーんで?』
『ここじゃだめなの』
『我慢できないよ』
『だめ。陽菜としたいなら我慢して。はい、外いくよ』
今すぐにでも飛びかかりたい気持ちを抑えてそそくさと部屋を出る
あっちゃんと麻里ちゃんがなんかいってるし視線がすごいけど無視
悪いけど選ばれたのは陽菜ってことで
二人には潔く諦めてもらうよ
『にゃんにゃん…』
陽菜が閉めたボタンにまた手をかけようとするゆうちゃんは相当な露出狂?
てか、もお、欲情してやばいのかも
でもここでなんて出来るわけないじゃん
タクシーの中なのに
『もうちょっと、我慢して』
『やあ…』
『も、ゆうちゃん』
ぎゅうって陽菜にぴったり密着して大きなおっぱい押し付けて首筋にちゅ、って
もお…おかしくなっちゃう
『ん、にゃんにゃん…』
『声はだめ、しー…』
ゆうちゃんの薄い唇を弱い力で塞いだ
結局理性に勝てなかった陽菜はボタンを二つだけ開けて大きな胸を少しだけそっと触る
陽菜だってもうさ、耐えれない
谷間に指を出し入れしてみたらもぞもぞと我慢する
声も、感じるのも
まじで、やばい
『ん…』
『やわらかい』
『したっ』
『ん?』
『下もっ…』
『もお、変態さん』
『だあって』
『…ついたらすぐ触ってあげるから』
『はあっうん、んっ』
ちらりと視線を落とすと、短いショートパンツから露わになっている太ももがこすり合わさっている
そこはどうなってるんだろ…
そんなことを考えて、つい激しくなる触り方
もう押し倒しちゃおっかなっておかしくなった頭と絶対だめ、AKBが終わるっていう冷静な頭
理性と戦うこっちの身にもなってほしいよね
(ガチャ)
タクシーの運転手さんにお釣り入りませんと言って渡したお金
わかってるかな、それが口止め料ってこと
家の鍵を閉めた瞬間に欲望が一気に解放された
『よく我慢したね?偉いよゆうちゃん』
『にゃんにゃ、はやく』
乱暴に剥ぎ取った服も下着も玄関で投げ捨てて
全裸のゆうちゃんはえろい
最高にえろい
『ああっあ、んあ!』
主張がすごい二つの先端にしゃぶりついてあげる
もちろん右手はお待ちかねの部分へ
『べっちゃだよ。すごいえっち、ゆうちゃん』
『あっあっあ』
『きもちい?陽菜のきもちい?』
『ああっきも、ちいよお』
簡単に二本の指を飲み込んだそこに必死な陽菜は出し入れを繰り返す
だいすき、だいすき、だいすきなの
『ああっあっ、いっく、ああー!』
指を抜き取るとねちょ、っといやらしい音がした
ゆうちゃんの、糸が、
興奮が収まるなんてありえないみたい
陽菜はその日、自分の腕とゆうちゃんの体がおかしくなるんじゃないかってぐらい何度も優子を抱いた
*****
ーー翌日
優子side
『ん…んー、いったあ…』
まず感じたのは腰の痛み
だるさと痛みを感じながらゆっくり目を開けるとすぐ近くには就寝中の女神様
『ああ、昨日』
覚えてない
なんて言ったらにゃんにゃんは怒るだろうか、ほっとするだろうか
本当は全部覚えてるんだけどさ、どう言うのがこれからの二人にとっていいのかな
『ん〜…』
まだ開かないらしい瞳
寝ぼけながらあたしを抱き寄せてくる
何も纏っていないから柔らかな大きな膨らみに押し付けられたあたしの顔
『…はあ』
思わず漏れたため息
昨日は酔っていたから鮮明じゃなかった体温や感触や匂い
今日はわかりすぎるほどわかってしまう全て
『だめだ、やっぱり。だいすきだよ。にゃんにゃん…』
あたしは認めることにした
順番は違ってしまったし、陽菜だって酔いからきた勢いだったかもしれない
それでも、もうあたしは抜け出せない
この瞳が開いたとき、微笑んでくれることだけを願ってもう一度目を閉じた