ー憂鬱な朝





『.....あー』



目を開けると見慣れた天井
ベット下にずり落ちた布団




(懐かしいなあ)




いつだろう。小学かな
あの時は楽しかった
あの時は




『おはよー』
『あら、どうしたの優子』
『どうしたのって別に朝だし』
『朝だしって、夏休みなのに珍しいわねって事よ』
『ん、え?...あーーうん』



そんな事は分かっているけど
あんな夢を見てしまったから二度寝しようとしても出来なかった
でも、そうだった
昨日は、調子こいて夜更かしして映画を見ていた
なんとなく感じていた頭痛の原因はこれか




時計を見るとまだ6時




『えー、昨日寝たの2時だよ。早起き過ぎた』
『いいじゃない?たまには。ほら、二度寝しないで、散歩!いってきて!』
『うえーー』




懲りずにもう一度二度寝してみようと思い、ソファに寝転がった私だったけど、お母さんに犬の散歩を命じられる




(まだ寝たいのに...)




ぶつぶつと文句を言いながらも、散歩と言う言葉に目を輝かせて、尻尾が振り切れてしまいそうな程にぶんぶんと振りながら私の元に駆け寄ってきた愛犬のその可愛さに
私の顔はだらしなく緩むんだけど




(ゆうちゃん)




私はまた、今朝の夢を思い出す
あの柔らかい声で起きた朝は幸せだったけれど
やっぱりあれは夢で



『っつ、あたまいたいよー』



楽しそうな愛犬には申し訳ないけれど、寝不足すぎて鈍痛が


もう一度眠りに落ちたい
けど、正直もう眠れそうにないのは自分が一番分かっていた



ふと空を見上げた
暑い日差し
雲一つない真っ青な青空
風は吹いていない



また、今年もあの季節がやってきた