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大人への階段について

大人への階段完結です!

今回は大人というキーワードを使ったので子供から大人になってしまった陽菜、優子、麻里子を表現したかった
ですが、なかなか難しかったですね!!



大人になると、人はなかなか本音で語り合う機会が減っていきます。
この話の優子には嘘をついて幸せを逃すようなことはしてほしくなかった。初心に戻ることの大切さを大人には忘れてほしくないですね。




もう一つお知らせです!!
私のもう一つのサイトを見てくれている方がいるみたいなのでそのサイトの作品をこのサイトに移動させることにしました(бвб)
あっちもこっちも見ていたら大変だと思うので、皆さんが見やすいように、と(´-∀-)
自分の気に入らない箇所がある所は直して貼るので、前と違った内容になる場合もあると思います!!
完結した話が何個も貼られるので、時間がある方はみてくださいな(´-∀-)(бвб)


大人への階段19 完

ーー永遠に



優子side




どこかで誰かが笑えば
どこかで誰かが泣いている
でもきっと、人は人を傷つけて成長していくから



『…かわいい』



あたしの胸辺りにある綺麗すぎる寝顔
乱れた髪をそっと直すと、あたしと同じシャンプーの匂いがした



『陽菜』
『すぅ…すぅ…』



静かに名前を呼んでみるけど返事はない
風邪を引いたら困るから布団を肩まで掛けてあげたいんだけど、この美乳が見えなくなるのはいやでどうしようかと迷ってしまう



『んっ…』
『起きた?あれ?』



ん〜、と言いながらあたしの胸に顔を埋めるから目が覚めたかなと思ったけど違うみたい
陽菜の吐息がかかってくすぐったくて、それさえも幸せに感じてしまう



(ほんとに、信じられないな)



いつしか親友という厚い壁を壊すことも、飛び越えることも出来なくなっていた
というより、やっちゃいけないという強い思い
陽菜の幸せを考えたとき延長線上にあたしはもちろんいなかったから



『陽菜、あたしでいいの』
『…すぅ』
『祝福されないかも、陽菜も悪口言われるかも知れない、後悔するかもよ、……子ども作れないよ』



寝ている陽菜に不安をぶつけるのはあたしの弱さなんだけど



『…ばか』
『え?起きてたの?』
『思ってるならなんでちゃんと言わないの?』



眠そうに顔を上げた陽菜の唇は尖っている



『優ちゃんがいま言ってたことぐらい考えてるよ』
『うん』
『…えっちまでしといてそんなこと言い出されたらほんとに体目当てなんじゃないかって思っちゃうじゃん』
『ちっがう!それは!ほんとに違うよ陽菜』



さっきまでの幸せなひとときをそんな風に捉えられたくはない



『あたしは、ただ純粋に陽菜の全部が好きなんだよ?』
『じゃあそれでいいじゃん』
『色々、考え過ぎる癖があるから』



わかってはいるんだけど
人より少し疑い深くてどこか冷めてて現実を見る時がある



『陽菜だってそれなりに考えるけどさ、優ちゃんがいればいいやって思うの』
『…うん』
『ほかのどんな幸せより優子が隣にいるだけでいいの。こんだけ好きなのに伝わらない?』



結局いつもあたしの不安を溶かしてくれるのはあたし自身じゃなくて



『なんか言ってよ』



不機嫌そうに不安そうに泣きそうに
でも、真っ直ぐ目を見て
芯がぶれないのは陽菜のほう



『そばにいるよ。幸せにする。だから、いつまでも隣にいてください』
『…当たり前じゃん』



今度はあたしの胸に強く顔をつけて強くあたしを抱きしめてくれる


嬉しそうに笑った優しい顔が見えてそれだけでもう、さっきまでの不安なんてどうでもよくなるんだ



『ねえ』
『ん?』
『陽菜に全部ぶつけてね』
『うん。ありがとう』
『優ちゃんはもっと甘えていんだからね』



目頭が熱くなるのを感じる
これからずっとこの人のそばにいていいんだ
それだけで反応するあたしの心はまだまだ腐ってなんかいないよね



黙ったあたしに気づいた陽菜があたしの顔を不思議そうに見た



『愛してる』
『……もっと』
『大好き。愛してる。陽菜だけ』
『ん?もーっと』
『ははっ』



こんな可愛すぎる彼女に
言葉を愛を体を心を
あたしの全部を捧げるから
一生隣で笑っていてほしい



これから先、ぶつかる壁は高いだろうけどきっと二人ならやっていける


いくつ歳を重ねても変わらない関係でいたいね



『優ちゃんの家、住みたいな』
『んーそうだね。将来は一軒家でも買っちゃおうか?』



二人が住むのに十分な大きすぎない愛の巣をあたしが陽菜にプレゼントするよ
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大人への階段 18

ーー初めての感情


陽菜side



気づいたら頭が勝手に考えてて
気づいたら目で追ってて
気づいたらあなた中心になってる


こんな純粋な恋がこの歳になっても出来るなんて陽菜もまだまだ若い証拠かな?



『若い、てったって、姉さん。今年で25でしょ?』
『は?なに?』
『あーいやいや?なんでもなーいよん』



陽菜の横で失礼な事を平気に言うガチャピン
じゃなくて、みいちゃん



『なに?ガチャピン?』
『さっきからさ、陽菜の心読まないでよ』
『あたしに見抜けないことがあると思ってるの』



そんなどや顔で陽菜を見るこの子には優子とうまくいったことを話したの
好きだってこと前からみいちゃんにはばれてたし



『で、陽菜。あれ大丈夫?』
『ん?』



楽屋を出て行ったのは麻里子
少し考えてて出て行ったのは優子



『…あーうん大丈夫』
『へえ。さすが姉さん、大人の余裕ですか?』
『まあ、そんな感じ』








ってのが今日の楽屋での会話



『はーるな?』
『え?ん?』
『どうしたの?考え事?』



目の前には心配そうな優ちゃん
仕事の終わる時間は優子のほうが遅かったんだけど、そのまま陽菜のお家に来てくれたから今は二人でうっくりタイム



『ちょっとだけ』
『あたしに言えないこと?』
『…聞いてもいい?』
『ん?いいよ。言ってくれなきゃわからないよ』



大丈夫。なんてみいちゃんには言ったくせに結局あの後も麻里子と優子のことで頭がいっぱいなんだもん
聞いてもいいよね?だって陽菜、彼女だもん



『麻里ちゃんとなに話したの?』
『あー気づいてたよね。あたしも今、話そうと思ってたんだ』



話そうと思ってた、そんな一言にほっとする
優ちゃんは陽菜に隠し事はしないんだってこれだけで嬉しくなっちゃう自分にちょっと恥ずかしいかも



『告白されたよ』
『…だよね』
『ちゃんと断った』
『うん』
『あたし、陽菜が好きって言ってくれてなかったら麻里ちゃんと付き合ってたかもしれない』
『…は』



衝撃的な事実
なにそれ、めっちゃ危なかったじゃん
あの日無理矢理優子を泊めなかったら…そう考えたらぞっとした



『…優ちゃんは余計なこと考え過ぎ』
『はい』
『陽菜が好きならそれだけでいいじゃん』
『はい』
『変なこと考えて、自分の気持ちに嘘なんて付かないで』
『ごめんなさい』



しゅん、って言葉が一番似合う反省してますって顔



『にゃんにゃん』
『なに?』
『怒ってる?』
『…こっち、おいで』



小さな優子を陽菜の膝の上に上がらせる
あーなんか、



『久しぶりにこんなことした』



陽菜にぎゅーってしながら嬉しそうに言うの



『優子の場所ね』
『うん?』
『さみしい時も嬉しい時もなんでも、ここに帰って来ればいいの。陽菜以外のこと考えなくていい』
『ん、わかった』



んーーって言いながらぎゅうぎゅうするから優ちゃん苦しいよって言えばもっと陽菜とくっつきたいって



『これからいっぱいくっつこう』
『…昔のあたしみたいに?』
『いいよ。優ちゃんはあのぐらいが可愛いよ』



うへ、へへって笑う顔はきっとだらしないんだろうな
まだ陽菜にくっつき虫だから顔は見えないけど



『ずっと、そばにいたい。陽菜』
『…当たり前』



もっともっと、優ちゃんがほしいな
片思いしてた分、足りない
優ちゃん不足じゃ陽菜はもう生きていけないの



『優ちゃん』
『んー?』
『お風呂』
『入る?』
『うん。一緒に入る』
『あはあ。可愛過ぎて死んじゃうよー!入ろっか!』



子どもみたいににっこにこして可愛過ぎるのはどっちかな



『幸せだなー』



うん、そうでしょ?
優子は陽菜がいれば幸せなの
だから離れないで


そんな意味を込めたキスを広角の上がったほっぺに落とした
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大人への階段 17

ーー終止符


麻里子side



優子の瞳は潤んでて、声は震えてて、ねえ。ゆっぴー。
そんな顔をしないでほしい
抱きしめたくなるじゃんか



『…ずるくなんてないよ』



細い腕を引き寄せる
抱きしめながら言った



『私は優子の気持ち聞いて自分の所に来れば良かったのにって思ってるんだよ』



陽菜への想いを押し殺した優子を包んであげたかった
そして、忘れてしまえば良かったのに、陽菜への気持ちなんて



『篠田の優子になっちゃえば良かったのにさ』
『っ、だめだよ麻里ちゃん』
『いくらでも受け止めるのに』
『ごめん、なさい』



体を離そうとしてるのがわかる
離したくなくてわざと腕の力を強めるのは最後の抵抗
もうこんな風に愛しさを含んだ抱きしめ方は出来ないかも知れないから



『麻里ちゃんを傷つけるから』
『いいよ』
『だめだよ。あたし、ごめん。優しくできない』



ぐっと肩を押された
わかってるんだけどね、この瞳に写るのは陽菜だけだってこと



『あたしは陽菜が好き。麻里ちゃんに甘えちゃいそうになったけど、麻里ちゃんの気持ちに漬け込もうとしたぐらい自分で一杯一杯なんだよね』



全部ばか正直に話しちゃってさ



『本当にごめんね。勝手なことばっか言って。でも、本音で話さなきゃって思ってたから』
『…優子らしいね』




それでもこうやって突き放すのは本当の優しさだって知ってるから



『麻里ちゃん、幸せになって。絶対、麻里ちゃんなら素敵な人に出会えるから』



終わりなんだな、って思う
この恋が終わってしまうんだな



『大好きだよ。優子』
『ありがとう』
『幸せに、なって下さい』



離したく無かった小さな手
これから触れるのは陽菜だけだと思うとやっぱりまだ胸が苦しいけど



『でも、いつまでも仲良しでいたいな』



眉毛を下げた不安そうな顔を見たら笑顔になれてなんとかやっていけそうな気がするよ










もし、陽菜より先に私が会っていたらさ、どうなってたかな
そんなこと考えてしまう頭はまだ収まりそうにはないみたいだけど



(陽菜に泣かされたらおいで。いつでも受け止めてあげるから)



去っていく背中を眺めながら
心の中で静かに呟いた




大人への階段 16

ーー本音


優子side



『好きだよ。愛しくて仕方ないんだ』
『……』
『そう言ったら困っちゃうかな』



こんな真剣な告白を受け止めてあげれないあたしは、罪だよね



『…ごめんなさい』
『だよね。わかってるから』



そう言った麻里ちゃんはすごく寂しそうな顔をした



『最初はなんとも思ってなかったんだ。でも気づいたらニャロニャロってうるさい優子を自分に夢中にさせたいなって』



麻里ちゃんはゆっくりゆっくり話し始めた



『あんな風に大好きオーラ出されたら幸せだろうなって思ってた。
…陽菜になりたかった。』



ずしりとくる一言
麻里ちゃんは全部わかってたんだ
わかってた上で、昨日はどんな気持ちで一夜を過ごしたんだろう



『優子を好きな気持ちは負ける気なんてしなかったんだけど、ね』



いつものポーカーフェイスはどこにいったの
俯いて苦笑いをされたってあたしはもちろん笑えない
麻里ちゃんの気持ちが痛いぐらい伝わってきてあたしがしなきゃいけないことは、全部、本当のことを伝えること



『あたし、』



言葉に詰まる




『ずるいんだ…』



麻里ちゃんが顔を上げた



『どっちも失いたくなかったの…』



声が震えているのがわかる



『…自信なくて、陽菜に気持ちを伝えるの怖くて、関係を崩したくなかったから』
『うん』
『あたし、最悪だから。まりちゃん、なら受け止めてくれるかな、とか考えてた』



誰よりもずるいあたしの誰よりもずるい本音



『麻里ちゃんがあたしのこと好きならうちらが付き合えば、全部、全部壊れないで上手くいくのかなって…』



自分の汚い感情を吐き出して最悪なことを考えていたと改めて思う
どうして、いつからかもわからない、自分自身を守るために必死になっているなんて


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