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【SSS】ごはんが無ければ何を食べよう

「ハッピーハロウィーン」
「果林、相変わらずすごい買い物袋だね。お菓子くれるの?」
「すみませんいっちー先輩、これは配る用じゃなくてアタシが個人で消費する用です」
「うん、知ってた」

 10月になったくらいから町ではハロウィンムードが高まって、スーパーでもお菓子のパッケージがハロウィン仕様になってたりする。実際の意味のハロウィンはともかく、いたずらとお菓子の応酬くらいには軽く楽しみたい。仮装はちょっとハードルが高いし。
 果林がいつものように買い物袋を提げてやって来たけど、果林のそれは本人が言うように全部自分で食べる用。四次元胃袋とまで言われた果林が人に食べ物をあげる余裕なんかあるはずもなく、むしろアタシが欲しいくらいですよねーと言ってパンの袋を開ける。


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【SSS】I have plans so I can't go.

「野坂さん、イケメンらしからぬ顔になってますよ」
「本当に。どうしたんだい野坂、そんな凶悪な顔をして」
「こーた、ホント真面目にアイツどうにかして欲しい」
「そこまで煩わしがるということは、例の女性ですか?」
「それな。土曜日が休みなわけないだろ、いい加減にしろ」

 神崎の話によれば、野坂は今、同じ成人式実行委員に属する女の子から猛烈なアタックを受けているらしかった。デートのお誘いが頻繁に来るそうなのだけど、如何せん野坂の恋愛対象は菜月さんだけだし、他の女性はカボチャと同等。心底面倒だから何かと理由を付けて断っているそうだけど、毎度毎度彼女も懲りないらしい。
 そして今回は、土曜日に会えませんかと連絡が来たそうだ。野坂本人が言うように土曜日は菜月さんとの昼放送の収録という、野坂の中では最上級に幸せなイベントで2ヶ月先まで埋まっている。と言うか、世間一般では休みの土曜日にお誘いを入れるだけで憎悪に満ちたこの顔だよ。野坂も立派にラブ&ピースの申し子だった。


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【SSS】振り子を揺らす裏事情

「カン、大変だ」
「んぁ? どーしたスガ」
「ステージの枠が増えた」
「増えた!? こないだ削られたばっかじゃんか! どーなってんだよ」
「増えたって言うか、引き受けたって言うか。とにかく、削られる前の枠より10分増えたってことになるかな。その10分をどうするか考えなきゃいけない」
「おっけ〜、編曲させていただきま〜す」

 緊急召集されて開催された班長会議の結果、大学祭ステージの枠が20分ほど上乗せされることになった。これには話すとかなり長い事情がある。


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【SSS】研修生制度創設を巡る攻防

「おはようござ」

 います、とセンターの事務所に入ろうとすると、本来ここで顔を合わせるはずのない女がオレの席に座っていた。女はオレの顔を見るなり勢いよく立ち上がり、オレの声を遮るように声を張る。

「おはようございます雄介さん!」
「何故お前がいる、綾瀬」
「はい! 私は情報センタースタッフの研修生としてお世話になることにしました! よろしくお願いします!」
「研修生だと」


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【SSS】耳障りのいい大義名分

「伊東、朗報だ。無事に予選通過して、本戦に進出出来るぞ」
「うわーい」
「いっちー先輩目が死んでますよねー」
「そりゃ死にもするよ。俺の知らないうちにエントリーされてた女装ミスコンでMBCCのためとか言って俺を女装させることに執念を燃やしてた奴に売られたんだから」

 日々大学祭に向けた空気が色濃くなっている。大学全体がそんな感じ。アタシの場合はゼミでも食品ブースを出すし、MBCCでもラジオと食品をやるからとにかくバタバタ走り回ってるような感じ。ゆっくり見て回る時間はあんまりなさそうだけど、それはそれで楽しみたい。
 で、この大学祭のメインイベントが2日目の土曜日にある女装ミスコン。この女装ミスコンになんと! 我らがいっちー先輩がエントリーしてたんですって! だけどいっちー先輩の言うようにこのミスコン出場劇の裏にはどうやら高ピー先輩の暗躍が絡んでたみたいで。


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