「いやあ、今日はりっちゃんの日だったね」
「菜月先輩も認めるだけあるわ」
「そーやろりっちゃんはさすがなんやよ!」
「何でアンタが威張ってんのヒロ」
春の番組制作会を終え、会場となった星大でそのまま反省会となったのは良かった。と言うか、反省会とは名ばかりで、律を讃える会になってますよね! ちきしょう律め!
どうして律がこの制作会で元々高めの株をストップ高状態にまで爆上げしたのかと言うと、俺たち対策委員が仕掛けたラブ&ピースを堂々を受け止め、倍返しにしてきたからだ。
「啓子さん、結果的にミキサーの体験談を引き出す作戦は成功でいいよね」
「本題からはズレたけど、よしとしますか」
「りっちゃんの話が良かったから、Lの話を引き出せなかったのなんか正直どうでもよくなってたですよねー」
――と言うか何の反省をしてるんだ。そもそも俺たち対策委員がこの番組制作会で企んでいたことの一つに、直クンとの交際まで秒読みになっているらしいLへの尋問があった。
いや、まあ、この番組制作会はダブルトークの経験を積むことと、他校の人との交流がメインという体で進められていたけどやっぱり野暮な話も聞きたいですよね! みたいな感じになってたのは事実で。
そもそもその律の体験談というヤツだ。中学だか高校の時、バレンタインでもらったチョコに対してホワイトデーには手紙をつけてお返しをしたとかいう、そんな話だ。
律のクセにMMP的物騒な曲解ではなく真に言葉の意味通りのハートフルさだなあと俺はちょっと恐怖に震えていたのだけど、女性陣からの評価はとても高かったのだ。
手紙をつけて返すとかなかなか出来ることじゃないし、さりげなくかけられたその手間がいいとかそんなような。女子の目はシビアだもんなあ。いやあ怖い怖い。
「何が嬉しいか、ドン引くかって誰からかってのにもよるよね」
「果林もある意味勝利者の余裕だよね。タカティも律儀だなあ」
果林の手元にはタカティからもらったというホワイトデーギフト。まさかこんなに身近なところであるべきホワイトデーが行われていたとは!
「だってまさかタカちゃんがお返しくれるなんて思ってないからさ! 高ピー先輩から毟り取るつもりだったのに」
「高崎先輩から毟り取るとかお前の心臓は毛虫か」
「うわ野坂それ女子に対する発言じゃなくない?」
「果林お前そんな時ばっか女子ぶんなよ」
「うっさいゴティ!」
わー美味しそうだし可愛いキャンディーとクッキー、なんて果林はウキウキだし、みんなはよかったねーと謎の拍手をする。そしてこの件でタカティの株が上がって毛虫発言をした俺の評価はさらに下がる。
どうせ俺はロクでもない男だ。そんなことは俺が一番知っている。律のような真にハートフルで真にラブ&ピースなエピソードも持ってないしな!
「タカティもなかなかやるな」
「本人曰く、今までが男子校でこういうのに縁がなかったからやってみたかったのもあるし結構楽しかった、だって」
「ほほう。と言うかミキサーの体験談引き出す作戦だったんだからタカティの話も誰か引き出すべきだった」
「ああ、確かに。もったいないことをしたとは思うけどそういうところの野暮ったさが野坂の向島っぽさを表してるわ」
「いやいや、啓子さんそれ自分ブーメランじゃねーのLに同じことしようとしてたんだから」
「って言うか対策委員全員ですよねー」
「黙れ勝利者」
end.
++++
りっちゃんの日はどこへ行ったwww 対策委員がぎゃあぎゃあと喋ってると本題からズレるのはあるあるである。
あと同学年以下相手のノサカはアレなんで……毛虫発言とか別に全然普通なんで……www 2年生の末っ子は先輩相手じゃなきゃあんなモンです。
ここまでくると菜月さんにどうこうしたくても物理的距離が邪魔をするノサカが不憫で仕方ないね!w