「終わったな」
「うん。これでおしまい」

 大学祭が終わった。大きな事故もなく、無事に。終わってしまうとあっと言う間で。舞台の枠組みやテントは跡形もなくなったけど、明日からは普通に授業が再開されるなんて思えない余韻。
 放送部は大学祭を区切りとして代替わりになる。3年生はこれで引退して、ここからは1・2年生だけで活動をしていく。他の大学さんみたく秋学期いっぱいまで顔を出すということもなく。
 朝霞クンは、足が鉛になったみたくその場から微動だにしない。腕を組んだまま、どこかを見つめている。それを囲む俺たちも、何となくその場から動けずにいた。