「紅葉を見に行こうよう」

 とあるサークル活動日に突然現れた4年生の先輩方が急に何を言うのかと思えば、こ、紅葉…? これが村井サンの発言であればはいはいって流せるんだけど、麻里さんだと言うのがわからないんだ…!

「確かに行楽シーズンですからね。紅葉を見るにはいいですね」
「圭斗さんならわかってくれると思ってたよ。紅葉を見に行こうようツアーやろうよ」
「さっきから麻里がずっとこうなんだって」
「でも、たまにはそういうのもいいかもしれませんね」

 さすが圭斗先輩だ、真顔で紅葉を見に行こうようと繰り返す麻里さんにこれ以上ないお手本のような返答。さすが圭斗先輩だ、俺には到底達することの出来ない域にいらっしゃる。