「あれー? あーさーかークーン、おーい」

 インターホンを鳴らしても返事はない。今日は1日バイトだけど夜の7時には家にいるって聞いてたから来てみたのに。もしかして残業にでもなっちゃったかな。
 手に提げた買い物袋には、簡単な夕飯と酒に合うおつまみを作れるだけの材料。今日は俺もバイト休みだし、朝霞クンの部屋で飲もうかっていう約束をしている。

「うーん、電話してみようかな」

 階段の踊り場から見える駐車場には、1台の軽自動車。もうすっかり日が落ちるのも早いし、気温もグッと下がって来る。朝霞クーン、早く帰って来てー。
 ケータイを耳に当ててみるけど出る気配がない。出られない場所にいるのかな、電車の中とか? 仕方ない、もうしばらく待とうか。