「よーしお前ら、食え!」
「わー、ぐつぐつしておいしそーですねー!」

 目の前には、ぐつぐつと煮えたぎる鍋。腕まくりをして得意気にしている春山さんの自信作だ。普段は横暴でムチャクチャな春山さんだが、料理は普通に美味い物を作ると認めざるを得ない。
 変わり種というワケではなくごく普通の寄せ鍋だが、そこは春山さんのこだわりなのか市販の鍋つゆのような物ではなく自分で味付けをしていた。具も至って普通だ。

「ユースケ何食べる? よそおうか」
「いや、自分でやる」
「そう?」