慧梨夏サンの車が駐車場にスーッとやってきて、そのままアイドリングしている。ただ、慧梨夏サン本人はまだ体育館にいて、運転しているのは慧梨夏サン本人ではないことが分かる。

「じゃ、うちお迎え来たんでお疲れでーす」
「お疲れ様っす」

 慧梨夏サンの背中が遠くなると、それまでは大人しくしていた三浦が一気にうるさくなる。ちょこまかと何かを覗き込むような。実際、慧梨夏サンの車を覗き込んでいる。

「おお〜っ、あれが慧梨夏さんのかれぴっぴさんですね!」
「お前見たことなかったか」
「見たことがあったとしても覚えてないよね! は〜、やっぱかわいい顔してるっすねー」