年末になると、さすがに俺も実家に戻ってそれらしく過ごすことになる(慧梨夏も遠征していて留守にしているし)。俺は京子さんからのおつかいで浅浦家へ。腕まくりをして気合の入ったパパさんが、来る大晦日に向けた準備をしているところだった。

「パパさーん、これ、京子さんから。例のヤツだって言えばわかるって言ってたけど」
「あー、ありがとね。京子さんにもよろしく言っといて」
「はーい」
「あっそうだ。カズ、明日の蕎麦だけど上に乗っける天ぷらの具、伊東家の分みんなに聞いといてね。なんなら今から雅弘と買い物に行って来てくれれば助かるけど」