あやめから指定された時間、場所に向かうと、少し見ない間にカッコいいことになっていた。燦然と輝く青い機体、そして新品同然のヘルメット。

「あやめ、お前原付買ったのか」
「バイクの免許を取ったんです。なので本当は中型のバイクまでなら乗れるんですけど、維持費とかその他もろもろを考えて原付二種にしました」

 原付二種と言えば、俺の近場なら戸田が乗っている。普通の原付よりもパワーがあるし、二人乗りも出来る。それに段階付き右折もない。二種に乗るとただの原付には乗れないと戸田は言う。
 あやめがバイクの免許を取り、原付を買ったときにはかんなもそれはもう驚いたらしい。ただ生活をするなら部屋の近くで何でも揃うし、足は特別必要になるものでもない。またどうして二輪だったのかと。