「おーい! カレーの練習するぞー!」
「うわ、出た」
「何が「出た」なんだよ、練習しないと味が安定しないだろ!?」

 ゼミの有志で大学祭にカレーの店を出すことになってしまった。そこまではいい。前日と当日に少し拘束されるくらいだと思っていたからだ。それがどうした。言い出しっぺの高井がいやに張り切っている。
 巻き込まれる傾向にあるのはオレと石川、そして美奈。見事にこの部屋を溜まり場にしている面々だ。他のゼミ生からは当然不思議な目で見られたが、高井が悪いと言えば大体納得されたのが高井圭希という男の日頃の行いだろう。