丸の池ステージまで1週間を切った。ミーティングルームにはバタバタと人がひっきりなしに出入りしているようだし、機材を使っての練習や丸の池公園の現地に出向いてシミュレーションを行う班も。準備は大詰めだった。
 日高班は机上の打ち合わせが主で、俺や高萩といったアナウンサーは台本を読み、ミキサーは使う音を確かめている。台本を上げて仕事を終えたプロデューサーの部長は、金属製のレールにビー玉を転がす遊びがお気に入り。

「部長、少々お時間をよろしいでしょうか」
「何だ、俺は今忙しいんだ」