それを見た瞬間、当然怒りだとか呆れだとかいう物があったんだけれども、まず意味のわからなさに微動だに出来なかった。それは今朝のことだ。先週置き忘れてきたであろう自前の音源を取りに朝イチでサークル室に入った時のこと。
 それまでは、一概に綺麗とも言えない部屋だったが活動に支障が出ない程度には整頓はされていた。それがどうだ。部屋中所狭しと青い付箋が貼られていて、それにはいちいち何がどうしたなどとお小言が書かれていた。
 ヒゲゼミのお下がりの機材で積み上げられた壁にしても、絶妙なバランスで立っていた物の順番が変わっていた。並べ方が雑で軽い地震でも起きよう物なら崩れちまうんじゃないかというくらいには壁の強度が下がっていた。今更MBCCにこの機材に用事のある奴などいないだろう。謎は深まる。
 金曜日のサークル後、俺はしっかりとこの部屋の鍵を閉めた。そして今は月曜日の朝だ。土日の間に誰かがこの部屋に入り込んだということなのだろう。そして、付箋に書かれた文字の筆跡からすると、この部屋に日常的に入る人間の犯行ではないと推測出来た。