「はー……」
「泰稚、お疲れなんだ。冷たいお茶なんだ」
「ああ、ありがとう」

 今日はバンドの方の練習で、スタジオのある星羅の家に来た。それまでが何て言うか、すごく疲れたとしか表現しようがない。それは、金曜日にあった丸の池ステージのリハーサルからだ。星羅が淹れてくれた水出し緑茶を一口。うん、美味しい。しみる。

「泰稚がスケジュールを動かすなんて珍しいんだ」
「あれっ、詳しい話ってしてなかったっけ」
「聞いてないんだ。言えないなら聞かないんだ」
「いや……ステージのリハの時に朝霞が熱中症で倒れたんだ」
「えっ! 大変なんだ! 大丈夫だったんだ!?」
「ああ。洋平と応急処置をして病院にも連れてって、異常はなかったからあとはゆっくり休んでもらってっていう感じだな」
「それは良かったんだ。でも、朝霞が大人しくしてるとも思えないんだ」
「まあな」