「あー! ロイド君! 友よー!」
「シン! 久し振りだなあ! 元気にしてたか!」
「もーめっちゃ元気よ! ロイド君は!? 元気にしてた!?」
「俺もこの通り!」
果たして、俺は何を見せられているのか。星港市内某所“髭”にて、高校の同級生だという飯野と朝霞が高校卒業以来となる再会を果たしたらしい。4人掛けのボックス席には俺と飯野、それから朝霞と山口。正直山羽時代のことに関係ない俺と山口がここにいる意味はよくわからない。
事の発端は先週末に行われた向舞祭だ。俺はゼミの出席ボーナス目当てに飯野の課題レポートを手伝うことになっていた。飯野のレポートは祭に関する事柄で、資料を集めるのに向舞祭に特攻する、と。たまたま出向いた丸の池公園のサテライトステージに、アシスタントMCとして朝霞が立っていたのだ。
それに飯野が気付いてからが大変だった。踊りのチームを応援するでもなく、メインMCのタレントでもなく、単なる素人の学生がやっているアシスタントMCの応援を始めるのだから。余りにデカい声で「ロイドくーん!」などと叫ぶものだから、それに気付いた朝霞が一瞬渋い顔をしたのを俺は見逃さなかった。